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バーチャルミキサ Voicemeeter Banana で複数のスピーカマイクを利用する
オーディオのミキシンクや出力先の選択を行うミキサの機能をソフトウェアで実現し、パソコン上で動作させることが可能となっている。このようなソフトウェアはバーチャルミキサと呼ばれる。
ここでは、Windowsで動作するバーチャルミキサVB-AUDIO Voicemeeter Bananaの利用例について紹介する。
Voicemeeter Bananaは3つまでの入力・出力を扱うことができる。ここでは2つのスピーカマイク(Yamaha YVC-300とPJP-20UR)を利用する例を示す。 わかりやすさのために、異なる機種を利用しているが、音の遅延の違いなどによる無用のトラブルを避けるため、同一機種を利用することが望ましい。 (機器の選択以外の設定では、3つの機器を利用する設定となっている。)
なお、Bluetooth接続はさらに遅延が大きくなることに注意が必要である。 遅延が大きくなると、エコーキャンセラがうまく機能しないだけでなく、ずれた音が聞こえることにより不快になったりすることがあることに注意が必要である。
入力(マイク)の選択と出力先の指定
- HARDWARE INPUT 1: WDM: Yamaha YVC-300
- HARDWARE INPUT 2: WDM: Yamaha PJP-20UR
- HARDWARE INPUT 3: - remove device section - (必要に応じて3つめの機器を指定する)
次に、HARDWARE INPUT 1/2/3のそれぞれのセクションで、フェーダ(上下に操作して音量を調整するスライドボリューム)の右横にあるボタンで「>B1」のみを選択(それ以外はOFFにする)。 なお、「MUTE」ボタンを利用して個別にミュートすることが可能。
利用する複数のマイクの間での音量バランスの調整は、HARDWARE INPUT 1/2/3それぞれのフェーダを利用する。
ミックスされた音はB1からPCに送られるので、全体の音量は右下にあるVIRTUAL B1のフェーダで調整する。
補足
MME (windows MultiMedia Extensions)はWDM (Windows Driver Model)より古いインタフェース規格であり、遅延(音の遅れ)が少し大きい。どちらも選択できる場合はWDMを選択する方が良いが、特に必要がない限り、利用する複数音機器で統一した方が良いと思われる。 また、WDMは排他制御を行うため、他のアプリで利用中の機器を選択できないことがある。
出力(スピーカ)の選択
- A1: WDM: Yamaha YVC-300
- A2: WDM: Yamaha PJP-20UR
- A3: - remove device section - (必要に応じて3つめの機器を指定する)
利用する複数のスピーカの間での音量バランスの調整は、A1/A2/A3それぞれのフェーダを利用する。 なお、「MUTE」ボタンを利用して個別にミュートすることが可能。
PC音声の出力先の選択
VIRTUAL INPUTSのセクションでは、2つのバーチャルオーディオデバイスについて設定可能になっているが、ここでは左側の「Voicemeeter VAIO」を利用する。 フェーダの右横にあるボタンで「>A1」「>A2」「>A3」を選択(それ以外はOFFにする)。
遅延の調整
接続した複数のスピーカマイクで同時に音を出力したときや、同時に音を入力したときに、音のずれ(遅延の差)がある場合は、設定を調整して音のずれを少なくする必要がある。 音のずれが大きいと、エコーキャンセラが正常に機能せずにエコーが発生したり、不必要に音が消去されて安定して声が届かなくなったりすることがある。 数十ミリ秒ずれると、声が聞きづらいだけでなく、気分が悪くなることもあるため、注意が必要である。
スピーカの遅延の調整
右上の「メニュー」から「System settings/options」を開き、中央右のMonitoring Syncro Delayの項目を調整する。 機器ごとに加える遅延をミリ秒単位で指定する。時報など音のタイミングが明確にわかる音源を再生しながら遅延を調整すると良い。
マイクの遅延の調整
マイクからの入力音の遅延については、前項のような設定項目がないため、他の方法で調整する必要がある。 「System settings/options」を開き、中央左のBuffering MME/WDM/KSの値を調整することで、遅延を制御することができる。 バッファはノイズ防止等のために設けられた仕組みであるが、音のデータを蓄積するバッファの機能は遅延を伴うことから、バッファの容量を操作すうことで、遅延を調整することができる。 Windowsにおいてマイクやスピーカを接続する際のインタフェース規格として、MME/WDM/KSなどがあるが、それぞれの仕組みの技術的な特性上、遅延が異なる。 また、Voicemeeterでは、それぞれに対して個別にバッファのサイズを指定することができるようになっている。 これらを利用して、マイクごとに異なるインタフェース規格を指定し、それぞれのバッファのサイズを調整することで、マイク間の遅延を調整することができる。
実際の調整では、2つのマイクを近くに置き、時報など音のタイミングが明確にわかる音源をマイクに入力しながら、ミキシングされた音をヘッドフォンなどで聴きながら遅延を調整すると良い。
Zoomのオーディオ設定
Voicemeeter Bananaをインストールすると、以下の仮想デバイスが追加される。
- スピーカ: VoiceMeeter Input
- スピーカ: VoiceMeeter Aux Input
- マイク: VoiceMeeter Output
- マイク: VoiceMeeter Aux Output
この中から、Zoomのオーディを設定では次のように指定する。
- スピーカの機器として「VoiceMeeter Input」を選択する
- マイクの機器として「VoiceMeeter Output」を選択する
Zoomでの設定テスト
- Zoomのオーディオ設定画面で「スピーカのテスト」をクリックして、Voicemeeterのレベルメータが振れ、選択した複数のスピーカから音が聞こえることを確認する。
- マイクに向かって話すと、Voicemeeterのマイクのレベルメータが振れることを確認する。また、Zoomのオーディオ設定画面で「マイクのテスト」をクリックして、マイクに向かって話した声が、スピーカから再生されることを確認する。